常念山脈(長野) 前常念岳(2661.9m)、常念岳(2857m) 2023年9月23日  カウント:画像読み出し不能

所要時間  1:31 三股駐車場−−1:45 三股−−3:27 2170m肩−−4:40 前常念岳−−5:25 常念岳 6:32−−6:59 前常念岳−−7:34 2170m肩−−8:22 水浴び 8:26−−8:27 三股−−8:36 三股駐車場

場所長野県安曇野市/松本市
年月日2023年9月23日 日帰り
天候森林限界以上は晴。それ以下は雲海で曇
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場三股に第一駐車場ありだが週末は満車になることが多く、手前の第二駐車場を利用することになる
登山道の有無あり
籔の有無基本的には無しだが標高が低い樹林帯の一部では笹が足元を濡らす箇所あり
危険個所の有無無し
山頂の展望どちらの山頂とも晴れれば文句なしの大展望
GPSトラックログ
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コメント常念岳を三股から往復。秋雨前線が太平洋側に抜けて今年初の移動性高気圧圏内に入って涼しい秋の空気に変わり、フリースの手袋をしても指が冷えるくらいだった。まだ前線の影響が残って多くの北ア稜線には雲がかかっていたが、常念山脈だけはほとんど雲が無かった。関東は天気が悪く八ヶ岳、南アルプスとも見えなかった。紅葉は始まっていたが色付きはまだまだだった


常念岳から見た日の出と雲海。今回の雲海は東や南ほど背が高く、志賀高原〜浅間山、八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスとも見えなかった


三股第一駐車場 林道終点。いつもより車が多い
三股 森林限界の梯子
前常念岳。まだ真っ暗 巻道分岐
標高2800m付近から見た東の空。雲が高く日の出は見れないか 標高2800m付近から見た常念岳
縦走路に合流 常念岳山頂。先客は3人
常念岳山頂の神社 常念岳から見た蝶ヶ岳
常念岳から見た日の出前の360度パノラマ展望(クリックで拡大)
常念岳から見た常念山脈北部と後立山南部。蓮華岳以北は全て雲の中で鹿島槍を選択しなくてよかった
常念岳から見た穂高〜槍ヶ岳(下山直前)。時間経過と共に雲が取れてきた
常念岳から見た大天井岳 常念岳から見た燕岳
常念岳から見た蝶ヶ岳の稜線。3ヵ月前はここを歩いた 常念岳から見た日の出
常念岳から見た木曾御嶽。山頂部のみ見えていた 常念岳から見た鷲羽岳と硫黄岳
山頂のイワギキョウ 山頂のダケカンバ。紅葉ではなく枯れた部分が目立つ
下山時の山頂。3人ともトレランナー 下山開始
ここで三股方面へ ウラシマツツジのみ紅葉していた
ミヤマダイコンソウは薄っすらと赤い程度 ナナカマドは紅葉し始めだが枯れた葉も目立つ
チングルマは青々としていた 標高2700m付近から山頂を振り返る
前常念岳 前常念岳避難小屋
ミネカエデは紅葉中 標高2600m付近
標高2500m付近 下界は雲海
梯子。この付近から雲海に突入 標高2170m肩
倒木 倒木
イヌヤマハッカの群落 イヌヤマハッカの花
倒木 三股の少し上の沢で水浴び。水量が非常に少なかった
トチノキの実 三股
林道終点 三股第一駐車場。満車で第二駐車場も車あり


 今週末は秋雨前線が日本海から本州南岸まで南下して本州付近は乾いた涼しい空気を持つ大陸育ちの移動性高気圧に覆われ、今シーズン初の秋の気圧配置に変わる予報が出た。前線に近い関東は天気が悪いが、北アは急速に回復傾向で土曜より日曜の方が天気がいい予報。しかし齢を食った私では日曜に登ると月曜日に会社でヘロヘロになっているために、多少天気が悪くても土曜日しか選択肢はない。

 予報によると北アの中でも一番天気が良さそうなのは前線から遠い北部よりも南部で、後立山北部は雨雲がかかる予報であった。最初は鹿島槍も候補に挙がっていたが、いくつかの天気予報を見て今回は常念岳とした。北ア南部では雨の確率は低いが雲は多めで先週の鹿島槍のように山頂はガスって見えない可能性もあるが、その時は運が悪いと諦めよう。

 秋の空気に入れ替わって気温が低下する予報であり、今回は一ノ沢コースより距離が短い三股起点とした。ルート途中に水が無いが気温が低ければ水は消費しないので問題ないだろう。一番の問題は登山道にはみ出したハイマツが濡れていないかどうかで、濡れていると防水性能が劣化した登山靴が浸水してしまう。予報では前日の夕方くらいまでには雨が上がる予報で、当日は西寄りの風がやや強い予報となっていて、ハイマツのある稜線ではモロに風が当たるのでハイマツが乾くのは早いと判断した。

 金曜夜の三股第一駐車場はまだ空きがあり、ゲートに一番近い駐車区画をゲットできた。駐車場入口から遠いので夜間に車の出入りがあっても静かに寝られるいい場所だ。気温はまだ高めだが真夏よりは低下していて+20℃を切っていたため、快適に寝られた。

 いつものように山頂到着を日の出の時刻設定し、4時間の所要時間を見込んで午前1時半に出発。毎度のごとくこの時間に歩いている人は皆無で前後とも真っ暗である。林道終点には3台の車が駐車中でいつもより多かった。頭上は満天の星空で予報よりも天気はいいようだ。

 三股で前常念方面へ。ここを登るのは3ヶ月ぶり。右手を流れる沢の水量はいまだかつて見たことないほどに減っていて、帰りの水浴びがかろうじてできる程度。今年は北アはどこも大渇水である。すぐに急登が始まり、上に着ていたウィンドブレーカを脱いで半袖になり、さらに扇を取り出して扇ぎながら高度を上げていく。先週の針ノ木岳で扇を落としたので今回は紛失に注意しながら歩いた。中腹辺りで笹が登山道にはみ出した箇所があるが、前回もはみ出していたので今年はこの区間の刈り払いは行わなかったようだ。ちなみに2170m肩以上では前回に刈り払いが行われたことは確認済みである。

 いくつかの倒木を越えたり潜ったり迂回したりして2170m肩に到着。泥濘を避けながら緩やかな尾根を進んで再び登りに変わる。標高2350m付近でアルミ梯子が登場すれば森林限界を突破で、樹林が開けて頭上は星空。東の空の一段と明るい星は金星で、ずっと右側にはオリオン座。明け方の星空はもう冬の星座であった。

 森林限界を終えると展望が開けて北穂高小屋の光が見えるようになる。蝶ヶ岳の中腹で光が見えたが、おそらくは蝶沢を横断した登山者がいたのだろう。当然ながら蝶沢の水は完全に涸れているだろう。中腹の笹はたっぷりと濡れていたのに森林限界を越えたハイマツは完全に乾いており、これなら稜線でも濡れる心配はなさそうだ。

 花崗岩の巨岩の間を縫うようにグングン高度を上げていく。この付近は暗闇ではルートが分かりにくいが、今回は登りでルートを外すことはなかった。この一帯の岩のマーキングはかなり薄れているので、そろそろ描き直した方がいいだろう。

 前常念岳直下の避難小屋に到着したタイミングでは周囲はまだ真っ暗で、東の空が僅かに明るくなってきた程度。でも東の空は背の高い雲海に覆われて志賀高原の山並みは見えないので、今回は奥日光は見えないことが確定。予報では関東は悪天だったのでこうなるだろうと予想していたがその通りだった。

 前常念岳に出ると西寄りの冷たい風がやや強くなったので防寒装備を装着。予報では標高3000mの気温は+6℃程度だったので真夏よりは防寒装備は多く持ってきているが、まだ山頂まで登りがあって体が発熱するので最小限の防寒装備だけでいい。ただし手袋は必須だ。私は冷え性なのでフリースの手袋をしても手の指が冷えて痛かった。

 花崗岩の上を伝わりながら緩やかに登っていくと常念岳山頂に光が見えた。まだ日の出まで30分以上あるが、もう到着した人がいるようだ。こちらは今のペースだと計画通りに午前5時半頃に到着しそうである。ただし、この雲海ではその時刻では雲に隠れてまだ太陽は出てこないだろう。

 常念小屋への巻道分岐を通過すると花崗岩が少なくなってハイマツの間を上がっていく。周囲は徐々に明るくなって右手の大天井岳等が見えるようになったが、その奥の裏銀座や後立山の山々は雲の中で、鹿島槍に行かなくてよかった。もし行っていたら2週連続でガスの中で視界無しだっただろう。穂高の稜線も雲が絡んで前穂だけが姿を見せていた。

 縦走路に合流する頃にはライト不要な明るさになった。最後の一登りで常念岳山頂に到着。先客は4人で、そのうち1人はすぐに蝶ヶ岳方面へと下っていった。残り3人はその軽装からして常念小屋から往復だろう。山頂は北西の冷たい風がやや強いため南側で風を避けながら防寒着を着込む。今回は上着はフード付きの防寒具にしたので毛糸の帽子等と組み合わせれば首から上の防寒はばっちり。風が強いときはこの装備は大いに役立つ。短パンでは寒いので登山靴を脱いで長ズボンを履いた。

 今日は空気の透明度はいいが雲海の背が高く、頚城山脈や北信の山々、志賀高原、浅間山、八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスとも雲海に沈んで見えなかった。木曾御嶽はかろうじて山頂部だけが雲の上に出ていたが、乗鞍岳や霞沢岳は雲に飲み込まれていた。穂高〜槍ヶ岳の稜線には最初は雲が分厚くかかっていたが時間経過とともに徐々に薄くなってきた。私が下山するときにはまだ雲が残っていたが、おそらく日が高くなった時間帯には雲が取れたと思う。裏銀座方面も同じで徐々に雲が切れてきたが、水晶岳だけは最後まで見えなかった。立山、劔、後立山も雲の中で、唯一蓮華岳が見えていた。爺ヶ岳は山頂付近のみ雲の中だった。蝶ヶ岳は雲の上で、デジカメでズームしたらテントがいくつか見えた。鞍部付近は梓川側から滝雲が越えていたが急速に雲が薄くなって消えてしまったが、安曇野の雲海は最後前消えることはなかった。

 山頂付近ではイワギキョウがまだ咲いていた。背の低いダケカンバは紅葉が始まっていたが、部分的に葉が枯れて茶色が目立つ。鹿島槍でも針ノ木岳でも同様であり、今年はきれいな紅葉は期待できそうにない。今の色付きから考えると紅葉のピークは10月に入ってからだろう。それとも今回の秋の空気の流入で気温が下がって一気に色付きが進むかな。前常念の尾根ではウラシマツツジだけは赤く色付いていたが、ミヤマダイコンソウやナナカマドは薄っすらと赤くなった程度で、チングルマはまだ青々としていた。前常念直下のミネカエデは真赤までには至っていないが、それなりに赤くなっていた。

 約1時間の休憩の終盤に3人のトレランナーが私と入れ違いで上がってきた。私と同じく三股からかな。縦走路を離れて前常念へと下っていくとポツリポツリと登りの登山者とすれ違うようになる。どうやら風は徐々に弱まってきているようで、防寒装備を着たままでは暑くなってきたので前常念岳で身軽に変身した。

 前常念岳から先の急な下りでは次々と登りの登山者に遭遇。ここでは風が当たらないのに日差しがもろに照り付けて、気温はここ最近よりも低いにもかかわらず暑いくらいだった。早く下の雲海の中に突入して日差しを避けたいところだ。

 その雲海の雲のてっぺんはちょうど森林限界付近で、梯子を下って樹林帯に入ると同時に雲の中に入って日差しが無くなって快適になった。風は皆無なのは暑い方に感じやすいはずだが、それよりも日差しが無い影響の方が涼しさを感じる度合いは強いようだ。おまけに雲海に入って霧がかかって天然ミストなのも涼しい要因だ。

 樹林帯でも次々と登りの登山者に遭遇。山頂から三股分岐まですれ違った人数は50人程度だろうか。通常の週末よりちょっと少ないように感じた。最後は三股分岐手前の小沢で水浴び。水量は本当に少なくて大部分が伏流化していて、タオルを水に浸せる程度の流れが出た場所は少なかった。この状況が続くと10月中には干上がってしまうかもしれない。

 三股分岐で蝶ヶ岳当面へ向かう登山道と合流すると一気に人が増えた。林道終点の登山指導所には人が詰めていたが、これも9月いっぱいかな。無人の林道を歩いて三股第一駐車場に到着。公式駐車区画は満車だったが路側には止まっていなかったので、やはりいつもの週末よりは駐車台数は少ないようだ。着替えて車に乗り込んで第二駐車場前を通過したら、あちらにはかなり空きがあり、路側駐車は皆無だった。

 

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